科学が福祉を変える-。東京芸大が11日、東京・渋谷で行われている最先端技術を駆使した福祉社会の実現を目指す「超福祉展」に参加した。

 同大は文科省と科学技術振興機構(JST)による産官学連携のCOI拠点に認定され、芸術と科学技術を融合させて社会に役立てる研究をしている。障がい者が音楽を楽しむために15年からヤマハと指1本で弾ける「人工知能ピアノ」を共同開発し、改良を続けている。人工知能によって機械が人の演奏に合わせ、初心者でもプロピアニストのような演奏を味わえる。

 超福祉展では老若男女の体験者や最先端の義手で「きらきら星」や「ノクターン」などを弾いた。同大の新井鴎子特任教授は「すてきな伴奏が流れ出た瞬間、体験者の表情が明るくなり音楽の喜びを1人でも多くの人に伝えたいと切に感じました」と感慨深く振り返った。

 今回はピアノを弾くタッチの差異や指と鍵盤が離れるタイミングなどを細かく分析してオリジナルの伴奏データを作成した。「試行錯誤の連続だったが、ピアノを弾く楽しさを障がいの有無を超えて幅広い人に知ってもらえたと思う」と、同大の高橋幸代研究員は言う。

 NPO法人「ピープルデザイン研究所」が主催で今年で4回目。20年東京五輪・パラリンピックを前に8会場でデザイン性の高い福祉機器が展示された。