安倍政権が自らの「肝いり法案」で、追い詰められている。

 安倍晋三首相は14日の衆院予算委員会で、今国会に提出予定の働き方改革関連法案に含まれる「裁量労働制」をめぐる過去の自身の発言を撤回した上で、謝罪に追い込まれた。裁量労働制に関連した厚生労働省のデータの信頼性に疑いが発生。首相はデータを根拠に、裁量労働制による労働時間の縮減効果を強調していたため、データが誤りなら根拠が崩れ、これまでの質疑も事実上、意味を失う。野党は裁量労働制に反対し、法案や首相答弁の撤回を求めていた。

 野党は怒りが収まらない。立憲民主党の枝野幸男代表は「誤ったデータで議論をさせられた」として、法案の撤回を要求。「こんないいかげんなことを言うのが、安倍政権の典型的な姿だ」と、切り捨てた。

 野党6党はこの日、厚労省への聞き取りを行い、問題のデータの計算方法が、あまりにもずさんと指摘。厚労省は「精査します」を、延々と繰り返した。前任厚労大臣の塩崎恭久氏の時代もこのデータに基づいた質疑が行われたとして、野党側は審議そのもののやり直しを要求。データ問題での集中審議も迫る方針。