6日未明に起きた北海道の胆振(いぶり)地方中東部を震源とする最大震度7を計測した地震の影響で閉鎖していた新千歳空港は7日、昼前から運行が再開された。

空港館内への入場は午前10時の予定だったが、多くの人が待機していたため、約2時間前倒しの午前8時すぎに扉を開けた。出発カウンターのある2階への入場は午前10時からとされ、入場が開始されると、チケット購入や払い戻しをする人がフロアに押し寄せ、一時通行が困難になるほどだった。

羽田空港行きのチケットを持った会社員の50代男性は「出張で火曜日(4日)に前泊で来たけど、台風と地震で半分しか仕事にならなかった。(災害が重なり)びっくりたまげました」と疲れた表情をみせた。6日は終日、停電した札幌市内のホテルで過ごしたといい「明るいうちは部屋で本を読んで、スマホの電源も切れちゃって、夜はiPod(アイポッド)でずっと音楽を聴いてました」と苦笑いで振り返っていた。

旅行で2日から滞在していた広島県の女子大生(18)は「6日は帯広にいる姉と一緒に富良野に行く予定だったけど、行けなくなってしまった。(停電で)TVも見れなかったので、姉の家の近くを散歩しただけで終わった」と残念そうに話した。

7日からは到着便も昼前から続々と着陸し、食料品を抱えて到着ゲートに姿をみせる人も多かった。東京に出張中だったという会社員の40代男性は、袋に詰めたおかしやトイレッットペーパーを手に持ち「小さい子どもが3人いるので買ってきました。妻から食料品を購入できていないという話を聞いたので。(家族に)けがなどがなくてよかった」と話した。

出張中の同僚へ食料品を届けるために急きょ北海道入りが決まったという会社員の40代男性は、インスタントカップ麺やレンジで温めて食べられるご飯をカートに乗せて現れた。「(6日は)同僚が缶詰とかを食べていたと聞いたので」と心配そうに話していた。

列に並ぶ搭乗時間のせまった乗客が「早く案内してほしい」と航空会社スタッフに詰め寄るなど、緊張した状態が続いていた。それでも午後1時ごろに空港と札幌を結ぶ電車が復旧するなどし、時間がたつごとに人の流れもよくなっていった。フロアの床がはがれたり、漏水で一部の保安検査場が使用できないなど、まだ完全とは言えないが、新千歳空港は元の状態へ戻ろうとゆっくりと歩みを進めている。【松尾幸之介】