年末の風物詩「現代用語の基礎知識選 2018ユーキャン新語・流行語大賞」が3日、都内で発表され、テレビ朝日系で4月期に深夜枠で放送された、おっさん同士の純愛を描き話題となったドラマ「おっさんずラブ」がトップテンに選ばれた。

テレビ朝日総合編成局ドラマ制作部の貴島彩理プロデューサー(28)は「トップテンに入れていただき、ありがとうございます。2年前に深夜の関東ローカルの単発で始まり、まさか今、このような場に立てるとは思わず、奇跡というのは本当に起こるんだなぁと、驚きとうれしい気持ちでいっぱいです」と感激の思いを語った。

「おっさんずラブ」は、同局で16年年末に単発ドラマとして放送され、おっさんのピュアな純愛を描く作品性が話題を呼んで連続ドラマ化された。天空不動産の営業所を舞台に、女好きながらモテない33歳の春田創一(田中圭)が、上司の黒澤武蔵部長(吉田鋼太郎)と後輩の牧凌太(林遣都)に好きだとカミングアウトされ、恋愛、結婚、仕事に戸惑い、苦悩する物語。

おっさん同士の純愛ラブストーリーは、男女問わず話題を呼びインターネット上で拡散が進み、話題が沸騰した一方で、平均視聴率は4%で、最終回視聴率も5・7%にとどまった。貴島プロデューサーは「視聴率的には振るわなかった番組だと自分では思っておりまして…ただ、その中でも、このような場に呼んでいただけるということに、テレビ業界なのか、日本なのか、温かい変化みたいなものを個人的に感じております」と感想を語り、笑みを浮かべた。

貴島プロデューサーの言葉を裏付けるように、選考委員を務める「現代用語の基礎知識」の清水均編集部長は「『旧態依然』を支えてきた元凶が、性別を問わず残存する『おっさん』的スピリットにあるのだ! と、そんな風に『おっさんずラブ』が社会の病理を看破して製作されたとしたら、ここから次の時代への展望が見えて来るでしょう」と、作品の先見性を高く評価した。【村上幸将】