石原慎太郎元東京都知事は18日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で会見し、自衛隊の医療体制に大きな不備があるとして、国の対応を批判するとともに、改善を求めた。

今年10月、フィリピンで行われた日米比の合同演習に参加した隊員2人が、現地の人間が運転する車で交通事故に遭い、1人が死亡、1人が重傷を負ったという。その際、航空自衛隊が負傷者搬送のために所有している専用機を出さず、亡くなった隊員は事故の4日後に、現地で死亡したと明かした。「なぜ(専用機を)使わなかったのか訳が分からない」「日本の自衛隊が本当にかわいそうだ」と訴えた。

その後、防衛省の事務方トップに改善を求めても「なかなか難しい問題」「時間がかかる」と取り合ってもらえなかったとした。「4日間ほったらかし、(日本に)運ぶべき人間を運ばずに殺してしまったのはゆゆしき問題だ」と述べた。

この事案が、自民党の部会にも報告されていないことにも疑問を投げかけ「自衛隊隊員の命への配慮が欠けている」と憤った。

災害医療の第一人者で、東京都保健医療公社副理事を務めた佐々木勝氏も同席。「自衛隊が海外派遣されて初めての事故死。しかし(政府側から)『(亡くなった隊員は)フィリピンで適切な処置を受けた。先生の出番はない』と、はっきり言われた」と述べた。

また、派遣された自衛隊員に医官が帯同していなかったとして、問題視。「現地でけがをしたら、民間に委託する。これで自衛隊員の命は大丈夫なのか」と訴えた。

「自衛隊員の命が軽視され、(国は)役割だけを負わせている。あえて、今言わなければならないと思った」と述べ、石原氏とともに会見を開いた理由を述べた。