弘法大師・空海が開いた高野山金剛峯寺の奥之院(和歌山県高野町)にある、弘法大師御廟(ごびょう)のさい銭箱から現金を盗もうとしたとして、和歌山県警橋本署は25日、自称大阪府松原市の無職森哲弥容疑者(50)を窃盗未遂容疑で現行犯逮捕した。

橋本署によると、男は25日午前0時25分頃、さい銭箱の中に、先端に両面が粘着するテープを付けた釣りざおを入れ、さい銭を盗もうとした疑いが持たれている。釣りざおは伸縮が可能なものだったという。男のポケットには100枚以上の硬貨が入っていたというが、同署の取り調べに対し「記憶が抜けていて分からない」などと容疑を否認しているという。

男の逮捕に至った裏には、金剛峯寺の僧侶2人の活躍があった。前日24日午前0時ごろ、さい銭箱付近に不審な男がいるのを僧侶が目撃した。声をかけたところ、男は「お参りをしている」と答えたが、防犯カメラには、さい銭箱をいじる様子が映っていたという。

不審に思った金剛峯寺が、翌25日に警戒を強めていた中、丸1日後に再びさい銭箱のところに現れた男を、張り込んでいた僧侶が取り押さえ、橋本署に「今、さい銭箱から取っている男がいる」と連絡。その最中に男に1度、逃亡されたが、僧侶2人で取り押さえて署員に引き渡した。

テレビ朝日系で現在、シーズン17が放送中の人気ドラマ「相棒」に登場する、警視庁特命係の杉下右京(水谷豊)と冠城亘(反町隆史)ばりのバディぶりを発揮した僧侶2人の活躍で御廟は守られた。金剛峯寺の広報担当者は、日刊スポーツの取材に「(僧侶が)取り押さえることは、そんなに、あることではない。犯行現場を押さえ、目視しないと取り押さえられないですから」と語った。防犯対策については「主なところを映し出すように防犯カメラは設置しています」と説明。前日、防犯カメラに映った人物と、逮捕された男が同一人物かについては「前の日の同じような時間に同じことをしていたので」と語った。