フィットネスクラブを運営するRIZAP(ライザップ)グループは30日、都内で会見を開き、業務の主軸としてきた美容、ダイエット事業を発展、進化させた形で、ヘルスケア市場に本格参入すると発表した。

具体的には、既に提携している全国183の医療機関と連携し、医師がライザップの各店舗を巡回して客にアドバイスする施策を始める。医師のアドバイスは処方ではなく、あくまで相談という位置付けで、別途料金は発生しないようにするという。

加えて、医療的な知識を研修した上で対応する、メディカルトレーナーを育成し、7月から全国の各店舗で導入していく。ライザップは細かく、厳しいカリキュラムでトレーナーを教育、育成しているが、既にメディカルトレーナーのカリキュラムも、各種資格などを参考に作成中だという。

自らトレーナーとして、経済評論家の森永卓郎氏を約20キロ減量させた実績を持つ、ライザップ教育開発部の幕田純部長は、医療費の高騰や平均寿命と健康寿命とのギャップ、社会保障制度など、世の中には不安が多いと指摘した。一方でライザップには、教育制度を経たトレーナー、全国の提携医療機関、大学、病院との共同研究実績などの強みがあると強調。「治療ではないが(客に)どれだけ不安があるか、共感するには病気への理解、薬の知識が必要。深めるようなカリキュラムを考えたい。組織単位で、しっかりとヘルスケアに取り組んでいきたい。美容ダイエットのライザップに加え健康、ヘルスケアのライザップにしたい」と語った。

ライザップは15日に、19年3月期決算を発表したが、グループの純損益が193億円の赤字となったと発表した。本業の美容、ダイエットなどのフィットネス事業は順調なものの、企業の合併・買収(M&A)を積極的に続けた結果、子会社のCD販売「ワンダーコーポレーション」の再建などに苦戦し、大幅な赤字に転落した。幕田部長は、今回のヘルスケア市場への本格参入は「本業に注力するという認識でヘルスケアに進出していくということ」と語った。対企業、自治体向けのサービスも、ヘルスケアの方面は積極的に展開していく意向を持っているという。

会見では、18年4月に連結子会社化して経営権を取得した、サッカーJ1湘南ベルマーレの各選手らを支援、強化する目的で、1月に始動した研究機関「RIZAP Lab」(ライザップ・ラボ)の成果が出ていることも報告した。けが人を除く選手30人を、開幕前の1月と5月に調べた平均値として、筋肉量は60・6キロから61・9キロに増えた一方、体脂肪率は12・9%から10・5%に減ったという。

さらに、U-20ワールドカップ(W杯)ポーランド大会に出場中の日本代表の主将を務めるMF斉藤未月が、3月の同予選で左太ももを肉離れし、全治3~4週間と診断されたものの、帰国後にラボのリカバリールームでリハビリしたところ、約2週間後に練習に復帰したことも報告。それらアスリートへの支援から得た知見も、美容とダイエットに加え、新規参入するヘルスケア事業にも生かしたいとした。【村上幸将】