京都造形芸術大(京都市左京区)が校名を「京都芸術大」に変更すると大きな混乱を招くとして、京都市立芸術大(同市西京区)が造形芸術大を運営する学校法人「瓜生山(うりゅうやま)学園」(左京区)に名称の使用差し止めを求めた訴訟の第1回口頭弁論が8日、大阪地裁(杉浦正樹裁判長)で行われた。造形芸術大側は「法的には問題ない」として、請求の棄却を求め、争う姿勢を示した。

京都市立芸術大VS京都造形芸術大。「芸大騒動」の法廷バトルのゴングが鳴った。法廷には双方の代理人弁護士が出廷し、ジャブを応酬した。

訴状などによると、造形芸術大は2021年に開学30周年を迎えることから、来年4月に校名を変更することを決定。これに対し市立芸術大側は「本学の名称や略称と同一あるいは酷似している」と主張。さらに「京都芸術大」の名称は、卒業生の活躍、長年の事業活動などにより周知されたもので、不正競争防止法の著名表示にあたるとしている。

この日の法廷では本格的な応戦はなかったが、火花が散るシーンもあった。

市立芸術大側が「京都芸術大」は、京都だけではなく、近隣にも広く知られていると主張すると、造形芸術大側は「近隣というのは例えば、どれくらいまでですか」と問うと、「隣接する府県です」と返答した。 市立芸術大側の代理人弁護士は「京都地域ですら京都芸術大は知名度がないとおっしゃられたので、これからは全国的に名前が知られていることを明らかにしていこうと思っている」とキッパリ。

次回公判以降で市立芸術大側は「京都芸術大」について周知性、著名性などについて立証していく方針。「われわれは伝統のある大学だと思っている。証拠を出せばきりがない」。

閉廷後、造形芸術大の代理人弁護士は「そもそも何を主張されているのか分からない。次回期日まで5週間あるので、主張をクリアにされるでしょう」と話した。

市立芸術大側はホームページ(HP)に「第1回口頭弁論期日を終えて」とのタイトルで、訴訟までの経緯を説明するとともに赤松玉女・理事長のコメントを発表。「大学の名称は、大学にとって、長年培ってきた歴史であり、伝統であり、守るべき誇りです」。さらに「今回、社会的な混乱を最小のものとするために司法判断を求めていますが、私は今でも、学校法人瓜生山学園が、『京都芸術大学』への名称変更について、法人ご自身の判断で中止再考されることを心から望んでいます」とした。