東京・池袋の都道で4月19日に乗用車が暴走し、松永真菜さん(31)と長女莉子ちゃん(3)がはねられて死亡した事故で、警視庁交通捜査課は12日、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)容疑で、車を運転していた旧通産省工業技術院の飯塚幸三・元院長(88)を書類送検した。それを受けて同日、松永さんの夫が都内の司法記者クラブで会見を開いた。

松永さんの夫は、事故から書類送検に至るまでの7カ月で何を思ってきたかを聞かれ「壊れそうになる精神を、どうやって保てるんだろう…と悩み、葛藤した。どうやったら前に向けるんだろうと」と声を絞り出した。その上で「憎しみにとらわれたら、2人が悲しむ。莉子は私が怒った顔を見たことがない。憎しみを持たないようにしようと。(思ってきたことは)1つとは言えない…葛藤でした」と言い、涙を浮かべた。

そして「愛する2人の、あまりに痛ましい遺体を見て、つらかったとともに、2人がいない現実に苦しんだ。毎年3000人、交通事故で亡くなる。私はこの苦しみを知っているからこそ、誰にも経験して欲しくない。だから、こうして声を上げる」と訴えた。さらに「この事故をきっかけとして転換点になって欲しい。国民全員がいつ被害者、加害者になるか分からない。交通事故を減らすためにどうしたらいいか考えるきっかけになって欲しい。みんなが考えれば国も動くと思う」と、今回の事故が交通安全に関する、国民の意識の転換点にするためにも、活動を続ける意向を示した。【村上幸将】