脳性まひで重度の障がいがある、れいわ新選組の木村英子参院議員(54)が8日、公式サイトを通じ、同日、横浜地裁で開かれた相模原市の知的障がい者施設「津久井やまゆり園」で16年に入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた元職員植松聖被告(29)の裁判員裁判の初公判を受け、コメントを発表した。

木村議員は「このような残虐な事件がいつか起こると私は思っていました」と見解を述べた。その上で「職員は少ない人数で何人もの障がい者の介助をベルトコンベアーのように時間内にこなし、過重労働を強いられます。もちろん良い施設もあると思いますし、優しい職員もいると思います。やまゆり園がどのような施設かは、私にはわかりませんが、少なくとも私がいたいくつかの施設経験では、絶対に戻りたくないと感じるほどひどい場所でしかありません」と障害者施設の経験を語った。

そして「このような環境では、何もできないで人間として生きている価値があるんだろうかと思ってしまう植松被告のような職員が出てきてもおかしくないと思います」とまでつづり、植松被告を生み出してしまうような環境もあると指摘した。

木村議員は「私の家族は障がいをもった私をどうやって育てたらいいかわからず、施設にあずけ、幼い私は社会とは切り離された世界の中で虐待が横行する日常を余儀なくされていたからです」と虐待を受けた自らの体験を紹介。その上で、小学生の頃にいた施設について「トイレや食事など時間で決められており、機嫌が悪そうな職員にはトイレに連れて行って欲しいと言えず、機嫌の良い職員が通りかかるのを、我慢しながらじっと待ったりすることが何度もありました。(中略)夜中に、トイレが我慢できず、職員を呼ぶと怒られることが怖くて、一人で廊下をはってトイレまで行こうとしましたが、結局間に合わず、おもらしをしてしまい、職員に折檻された上、『お仕置き』として狭い場所に閉じ込められたことがあります。職員の言うことを聞かなければ、常にお仕置きが待っていました」とお仕置きがあったと明かした。

木村議員は「そのような環境の中で、障がい者は、絶望し、希望を失い、顔つきも変わっていく。その障がい者を介助をしている職員自体も希望を失い、人間性を失っていき、目の前にいる障がい者を、人として見なくなり、虐待の連鎖を繰り返してしまう構造になっていきます」と主張。その上で

「障がいのある子どもが普通学校に行きやすいような受け入れ体制が整っていたり、通学や通勤に家族以外の介助者をつけられる制度が充実していたり、さまざまな社会参加が、家族だけではなく、他人の介助者によって可能になれば、障がい者の生活の幅も広がるし、家族だけが面倒を見なければいけないという重圧から家族も解放されるはずです」

「障がい者を抱える家族の介助を地域に解放するために、国が率先して支援することによって、施設ではない選択肢を家族が持てる。そんな社会構造の変化が必要です」

と社会の転換の必要性を訴えた。

木村議員は「幼いときから障がい者と健常者が分けられずに育つ環境が整っていたら、支え合うコミュニケーションが生まれ、差別や偏見を生み出さない社会が作られると思います。そして、『障がい者は、生きていても意味がない』という考え方をもつ人はいなくなるのではないでしょうか」(コメントは原文のまま)と訴えた。