第201通常国会は20日召集された。約3カ月雲隠れを続けた菅原一秀前経産相ら、疑惑持ちの自民党議員が国会に続々と登院したが、説明責任は果たさず、ダンマリは続行。

安倍晋三首相は施政方針演説で、東京五輪・パラリンピックを意識した話を盛り込んだが、こちらも疑惑持ち議員の問題やIR汚職、「桜を見る会」など政権のアキレスけんには、言及も謝罪もしなかった。ねずみ年&五輪自国開催の年には、首相退陣のジンクスがある。政変含みの国会は、どう決着するのか。

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雲隠れからようやく、国会に現れた疑惑持ちの議員たち。納得できる説明は、まったくなかった。

地元有権者に秘書が香典を渡したとして公選法違反の疑惑が生じ、昨年10月25日に更迭された菅原氏は、約3カ月ぶりの国会。取材には応じたが、告発状が出ているとして疑惑には触れず「適切な日に説明したい」と繰り返した。国会に来なかったのは「睡眠障害」の診断を受け、眠れない日が続いたためとし「ようやく体調が回復した。一から精進したい」と語った。

公選法違反の疑いで広島地検の家宅捜索を受け、菅原氏と同様、今月15日まで雲隠れしていた河井克行前法相、妻の河井案里参院議員も登院。取材に応じたが、捜査についてはやはり、ダンマリ。IR汚職をめぐり、逮捕された衆院議員、秋元司容疑者らと中国を訪れた白須賀貴樹衆院議員も、地元事務所の家宅捜索以来、初の公の場となったが、「コメントは控えたい」と、沈黙を続けた。

菅原氏や河井夫妻、秋元容疑者や白須賀氏ら自民党議員の問題は、展開次第では安倍政権を大きく揺るがすアキレスけんだ。しかし、衆参両院で施政方針演説に臨んだ首相からそんな危機感は感じられなかった。

冒頭から64年大会の聖火リレーに触れ、「復興五輪」のアピールに多くを割き、五輪、パラリンピックの単語を19回使うなど、オリパラ色を強調。疑惑持ち議員の問題やIR汚職、「桜を見る会」の話題には触れず、謝罪もしなかった。受験生を不安に陥れた、大学入試改革をめぐる混乱にも言及はなく「まず受験生に謝罪しろ」と、やじが飛ぶ場面も。自民党の拍手もまばらで首相の演説中も私語を続ける議員がおり、「安倍1強」長期政権のゆるみが、あちこちで露呈した。

野党共闘が整わないうち、補正予算成立後の「2月解散」もささやかれる永田町。一方、政権が抱える疑惑や問題は多く、スンナリ乗り切れる見通しはない。政変ジンクスの子(ね)年だけに、何があってもおかしくない。【中山知子】

◆今年は政変イヤー 子(ね)年は「政変の年」で知られ、戦後6回あった子年のうち48年、60年、72年、96年、08年と5回、首相が退陣し新政権が誕生した。首相退陣がなかった84年も、自民党内で権力闘争が勃発した。これに加えて五輪が日本で開催された過去3度の年にいずれも、政権が交代している。最初の東京大会が開かれた64年10月には、五輪閉会式翌日に池田勇人首相が辞意表明し、佐藤栄作内閣が発足。札幌冬季大会の72年には佐藤内閣から田中角栄内閣へ、長野冬季大会が開かれた98年にも橋本内閣から小渕内閣へ、それぞれ政権が交代した。