相模原市の知的障がい者施設「津久井やまゆり園」で16年に45人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた元職員植松聖被告(29)の裁判員裁判の第8回公判が24日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で行われた。

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初の被告人質問で、責任能力がないという弁護側の主張について「責任能力はあると考えています」と主張。裁判の進め方についても「2、3審と続けるのは間違い」と異議を唱えた。

事件については一貫して「意思疎通できない人は無理心中、社会保障費、難民など多くの問題を引き起こす。人の役に立つことは人を殺すこと」など身勝手な主張を展開。障がい者にも愛情を持つ家族がいると問われると「気持ちは分かるんですけど、お金と時間がかかる以上、愛して守ってはいけない。障がい者を安楽死させると国が支給する金が減り、借金も減る」と主張。「大麻は素晴らしい。使用、栽培を認めるべき。安楽死が認められる国は大麻も認められることが多い。安楽死は人生を捨てるんじゃなく、楽しく生きるためのルール」など意味不明な論理を振りかざした。

植松被告は事件5カ月前の16年2月、衆院議長公邸に「目標は重度障がい者の方が保護者の同意を得て安楽死できる世界」などと書いた手紙を置いた。「良いアイデアなのでお伝えしたかった。犯罪なので政府の許可が必要だと思った」と説明。「欲しいものはお金。役に立つことが1番だが、お金が入ってくる権利があると思った」と話した。

テレビやウェブで世界情勢に興味を持ったとし、トランプ米大統領についても言及。「生き方、見た目、内面全て格好良い。真実を述べている。だから僕も真実を言って、重度障がい者を殺害して良い」。差別感情は変わらず、被告のゆがんだ考え方があらわになった。【村上幸将】