昨年1月、千葉県野田市の小学4年生栗原心愛(みあ)さん(当時10)が虐待され、死亡した事件で、傷害致死罪などに問われた父親の勇一郎被告(42)の裁判員裁判の初公判が21日、千葉地裁(前田巌裁判長)で開かれた。

勇一郎被告は「未来のみーちゃんの姿を見ることをできなくしてしまった。みーちゃん、本当にごめんなさい」と謝罪したが、一部を除いて否認し、争う構えを見せた。

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午後の証拠調べでは勇一郎被告が携帯電話に保存していた心愛さんが号泣する動画が再生された。「ああーん、ああーん」と泣き声が法廷に響くと、裁判員の女性が動揺した様子を見せ、一時休廷となった。再開後、千葉地裁は補充裁判員に交代させる措置を取った。しかし、勇一郎被告は前を向いたまま表情を変えなかった。傍聴した名取洋二さん(44)は動画を記録していたことに「なぜそんな残酷なことができたのか。公判で謝罪し涙ぐんでいたが、本当の胸の内は理解できなかった」と話した。