東京の夏の風物詩、隅田川花火大会実行委員会は10日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、今年7月11日に予定されていた開催を中止すると発表した。43回の歴史で中止は初めて。延期の予定はない。

担当者は「お客様や地元の方々の安全、安心を考えて中止にしました」と中止理由を説明。政府が7日に発令した緊急事態宣言を受け、「7月に収束しているのか、収束していたとしても、再び集団感染させてしまうのではないか」と考えたという。

昨年は7月27日に開催し、95・9万人が訪れた。公共交通機関が毎年混雑するため、三密を避けられないと判断した。同花火大会は観覧チケットの販売はなく「密接に人が歩きながら楽しむ」スタイルだ。市民協賛を24日まで募っていたが、中止にした。今のところ「対応に追われていることはない」と話した。

担当者は「楽しみにしてくださっていた方には、ご迷惑をおかけして申し訳ございません。来年、開催できるよう、検討しているので楽しみにしていただけたらと思います」と話した。

店内から花火大会を見ることができ、毎年予約客のみで満席になるという近くの飲食店の男性店員は「残念というより、しょうがないと思います。命の方が優先なので」と中止の決断に理解を示した。隅田川花火大会は毎年7月の最終土曜日に開催していたが、延期が決まる前の東京五輪と重なることから、今年は2週間前倒ししていた。