大阪のたこ焼きの灯は消さへんで~!新型コロナウイルスの感染者急増を受けた緊急事態宣言の発令から2度目の週末となった大阪の街は、18日も人影が消え、閑散とした。いつもなら若者でごった返す大阪・ミナミの三角公園前のたこ焼き店「大阪アメリカ村甲賀流本店」はテークアウト(持ち帰り)のみで営業を続けた。

客からの注文が入ると、店員の津川拓史さん(40)がアルコールで手袋を消毒し、マスク、フェースシールドをつけたままコテを持ち、熱した鉄板の前へ。この道、20年のベテランが華麗なコテさばきを見せ、焼き上げた。

大阪の若者の街も人影はまばらになり、売り上げは通常の10分の1まで激減した。毎日のように休業するかどうかを迷っているという田中由弘社長(51)は「たこ焼きは絶対に必要かと言われれば、必要ではないかもしれないけど、大阪人の魂として絶対に必要」と力説する。一方で大阪府内のたこ焼き店は休業に入る店が増えている。

約70人のアルバイト約70人は休んでもらい、直営店舗を社員10人で回している。社員の意見も聞きながら、営業を続けているという。田中社長は「店を開けても、休業してもどっちにしても負け。完全に赤字」と頭を抱える。コロナ対策の「密集」を避けなければいけないことも頭をよぎる。「行列ができるほど、売れすぎてもあかん。といってヒマすぎるのも…」と戸惑いを隠せない。

たこ焼きは関西の食文化を代表する「粉もん」の1つ。同店はレストランなどを星の数で独自に格付けしたグルメガイド「ミシュランガイド京都・大阪2016」にも掲載された人気店。田中社長は「明日、閉めなければいけなくなるかもしれないけど、喜んでいただけるお客さんのためにも焼き続けたい」。“大阪のソウルフード”が、なんとか踏ん張っている。【松浦隆司】