立憲民主党の矢上雅義衆院議員(59)が27日、内閣府、外務省、総務省に海外在留邦人に対する10万円の給付金支給についての要望書を提出した。

新型コロナウイルス感染拡大を受けて実施されることが決まった一律の10万円給付。対象者は「基準日(令和2年4月27日)において、住民基本台帳に記録されている者」とされているが、この基準に住民票を保持しない海外在留邦人から悲痛な声が上がっている。

矢上氏は「新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて海外で苦しむ日本人の声がなかなか届かない現状がありました。私はその声を拾い、政治家としての使命で、声を上げられた方の代理で要望書を提出しました」と話した。「安倍首相は現金給付の理由について国民との一体感といっている。そして住民票のない無戸籍者も特例措置の対象者になる方針が示されている。当初、住民票の有無は手続き上の基準であったが、その理論も崩れた。海外在留邦人の場合、在留届が住民票代わりになるのではないか。国内外を理由に差別はできない。特例措置のシナリオとしては成立する」と要望の根拠を説明する。

矢上氏は、海外在留邦人も10万円給付対象者に入れることに賛同する署名をオンライン上で集める「在外邦人を守る会」の活動をする海外在留邦人から要望書提出の依頼を受けたという。

同海外在留邦人は「日本国籍を持つ日本人なのに、住民票がないということで簡単に切り捨てられてしまうことがショックでした。“在外邦人”が一丸となるために署名活動をはじめました」。日本人としての尊厳が失われたと感じたという。

帰国の選択肢もあるが「日本に帰れば、今いる国に再入国はできない可能性も高いし、日本にウイルスを持ち込んでしまうかもしれない…」。

また、別の海外在留邦人は「今日、大使館に給付について問い合わせましたが、『給付は住民票がある人のみ。在留届と住民票はリンクしていない』と言われました」。日系企業に勤めているが、自宅待機が続き、給与はカットされる見込みだ。現地政府からの給付措置もないため、生活が厳しくなる。「日本に帰ることもできないし、現地にいることも厳しくなってきている」と不安な思いを吐露した。