コロナ終息へ、国旗を掲げて「ONE TEAM(ワンチーム)」-。「ラグビーの聖地」として親しまれる花園ラグビー場に隣接する大阪府東大阪市の松原自治会(約450世帯)で29日、「祝日に国旗を掲げましょう」運動が始まった。

ゴールデンウイーク(GW)の「祝日に-」は今年で9回目。新型コロナウイルスの感染拡大により外出自粛が呼び掛けられる中、今年のGWはラグビー日本代表のスローガン「ONE TEAM(ワンチーム)」を合言葉に200世帯以上が賛同し、国旗が軒先に掲げられた。

大型連休の初日となった「昭和の日」。花園ラグビー場の北側にある大阪府東大阪市の閑静な住宅街。町内の人影はまばらだが、国旗が一斉に掲げられた。30メートル以上続く「日の丸ロード」の旗が風に翻る光景は壮観だ。かつて日本は祝日に国旗を掲げていたが、いまでは珍しい風景になった。

呼び掛け人で、同地区で農業を営む松原功典さん(87)は「いまは日本中が大変な時期。日本が『ONE TEAM』となり、1人1人が責任を持った行動をとれば感染拡大は防げる」と結束を呼びかけた。

松原さんは花園ラグビー場から直線距離で約200メートルの畑で20年以上、楕円(だえん)形をしたさまざまな野菜を作り続けている。昨秋のラグビーW杯日本大会、花園ラグビー場で行われたイタリア対ナミビア戦後には、海外のファンに生産したラグビーボールの形に似た「ラグビースイカ」をふるまった。

「ONE TEAM」。史上初のW杯8強で日本列島を熱狂させた日本代表は、異なる出身地や文化を乗り越え、チームが1つに結束した。松原さんには「さまざまな立場や境遇がある。でも、いまはみんなが、コロナを終息させるために1つになるとき。国旗を掲げることで、思いを1つにできれば」。「祝日に-」には半数以上の世帯が参加したが、松原さんは「それぞれに考えや思いがあって当然。決して強制することありません」と話した。

「祝日に-」は、松原自治会の近くの位置する枚岡(ひらおか)神社(大阪府東大阪市)の中東弘宮司(79)が11年東日本大震災に心を痛め、国難を乗り越えるためには日本人の絆を象徴する国旗を「祝日に掲げよう」と団結を呼びかけたのがきっかけ。同神社の氏子総代の1人、松原さんが応じた。中東宮司は「苦しいときに、みんなが助け合えるのが日本人」。同神社では毎朝、一刻も早く疫病が鎮まることを祈っている。【松浦隆司】