日本財団が20日、新型コロナウイルス対策支援策として、タクシーを活用した医療従事者及び軽症患者の移送支援を行うと発表した。

医療従事者支援は、コロナ感染した入院患者を受け入れている都内の医療機関が対象。タクシーチケットを1病院あたり上限100万円分を約200施設に配布する。タクシーの使用方法は問わない。25日から日本財団の公式サイトで申請受付を開始する。利用可能な期間は6月2日~8月31日まで。

日本財団の笹川陽平会長によると、20日現在、同財団に対し、1万6200件以上、計8億5900万円の寄付があったという。笹川氏は「医師や看護師の皆さんをお手伝いしたい、とのご要望が圧倒的に多かった」と明かした。

また、日本交通と業務提携し、同社所有のジャパンタクシーを中心に、6月上旬から順次、軽症者移送用車両100台を配備する。専用コールセンターを通じ、病院からなどの移送要請に応じていく。

100台はすべて軽症者移送専用車両として、“コロナ仕様”に改造。車両の前方と後方の空気の流れを遮断する透明なボードや空気清浄器を備え付ける。乗務員は趣旨に賛同した人だけ参加してもらい、営業補償や危険手当なども含む形で、1カ月1台に付き80万円と想定。同財団は「乗務員の方にも、手が上がりやすい状態にする」とした。

笹川氏によると、軽症者移送は10カ月間で、車両改造費や車借り上げ代など、総額約8億6000万円かかる見込みだという。笹川氏は「今後くるかもしれない第2、3波に対しても、こういう仕組み作りがあれば『備えあれば憂いなし』。重要な作業だと思っている」と話した。同財団によると、今回の都内での取り組みが成功すれば、地方での実施も検討していく。【近藤由美子】