2016年(平28)2月に覚せい剤取締法違反で逮捕され、同5月に懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決を受けた、元プロ野球選手の清原和博氏(52)が、執行猶予期間が満了した15日に著書「薬物依存症」を刊行した。同氏は、出版元の文芸春秋を通じ、執行猶予期間満了の報告を含めたコメントを発表した。

「新型コロナ・ウイルスによって社会全体、多くの方々が苦しんでおられる中、私事で恐縮ですが、ひとつご報告をさせていただきます。私、清原和博は本日6月15日をもちまして、覚せい剤取締法違反に対する、懲役2年6カ月、執行猶予4年を満了することとなりました。私を支えてくださっていた野球ファンの皆様、野球関係者の皆様、報道関係者の皆様、私に個人的に関わっていただいた皆様に、多大なるご心配をおかけしましたことを、あらめてお詫び申しあげます」

清原氏は書面の冒頭で謝罪をしたためた上で、逮捕後の心境をつづった。

「逮捕されてから、この4年間で私自身がどのように変われたのか、実感や自信を持てずにいるというのが正直なところです。ただ、自分の行為を悔いる日々の中で、これまで私がいかに多くの人の力によって生かされていたのかという事実に気づきました。薬物依存症の治療を進める中で、薬物の恐ろしさ、この病気の実態を知り、人と繋がっていくこと、人に助けてもらうことの大切さを知りました。生きがいを見つけようとする中で、清原和博という人間がいかに野球によって救われてきたかということを再認識しました」

清原氏は薬物依存症を「病気」とした上で、治療の中で野球に支えられた人生だったことを吐露した。その上で「今の私ができることとしまして、この4年間で体験した自分自身の悩みは弱さを隠さずに記すこと、それによって薬物依存症の実態をより多くの方々に知ってもらうこと、これしかないのではないかと考えるに至り、この度、『薬物依存症』という書籍にさせていただきました」と出版に至った思いを明かした。

清原氏は「薬物との戦いに終わりはありませんが、私はこれからの人生を薬物依存症で苦しむ人たちと、野球界、とくに私自身の原点でもあります高校野球に捧げたいと考えております」と高校野球への熱い思いをつづった。その上で文書の最後に「不安、絶望、微かな希望。これが今の僕の全てです 清原和博」(コメントは原文のまま)と直筆メッセージも記した。

清原氏は、執行猶予期間中の19年11月30日に、神宮球場での「WorldTryout2019」に参加し、投手交代や選手への助言、MVP選定などを行い“監督デビュー”した。20年3月1日には、都内で行われた厚生労働省主催の「依存症の理解を深めるための普及啓発イベント」に出席。同5日にも都内で開催された厚労省主催の普及啓発イベント「誤解だらけの“依存症”in東京」で、特別ゲストとして登壇し、トークショーを行った。同氏がイベントなどの公の場に姿を見せるのは、16年の覚せい剤取締法違反事件以降、初めてで約3年ぶりのことだった。