梅雨空のもと、19日、約3カ月遅れてようやく開幕した「球春」。各地の試合は、新型コロナウイルス対策のため無観客で行われたが、開幕を待ちわびた全国のプロ野球ファンたちが、熱い声援を送った。それでも「密」の応援は回避するなど、新型コロナ感染防止に配慮。「新しい日常」下での新たなプロ野球観戦スタイルも、本格的に始まった。

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待ちに待ったプロ野球の開幕に、大阪・阿倍野区の阪神ファンが集う居酒屋「海鮮問屋吾作どん 西田辺店」では19日、虎党がテレビの前で声援を送った。

3回に西勇輝投手(29)が本塁打を放つと店内は拍手喝采。常連の40代男性は「無観客だけど、日常が戻りつつある。関西人は阪神が勝ったら騒げる。負けても騒げる。試合をしてくれたら気分がいい」と、酒を片手に中継を眺めた。

同店は創業以来54年、阪神一筋で熱狂的なファンが集う。新型コロナウイルス感染予防のため席の間隔を広くし、テーブルの間には透明シートを取り付けた。約3カ月遅れの開幕となったが西内祥高営業統括部長は「やっと始まるんやな。コロナに打ち勝つ何かがスタートする気分。飲食業界は元気、活気が全てなんで。タイガースが勝てばみんな元気になる。スポーツはそれだけの力がある」。プロ野球のある日常が戻り、喜びに浸った。【南谷竜則】