韓国の22年大統領選の有力候補だった、首都ソウル市の朴元淳(パク・ウォンスン)市長(64)が10日未明、市内の山中で遺体で見つかった。韓国警察は「他殺の疑いはない」として自殺と断定。同市は市長公邸の机で見つかった遺書を家族の同意のもと公開した。

朴氏は前日9日午前に公邸をリュックサックを背負って出た。夕方に娘が「遺言のような言葉を残して家を出た。携帯電話が切られ連絡が取れない」などと警察に届けていた。遺書は手書きで「全ての方々に申し訳ありません。人生を共にしてくださった全ての方々に感謝します。苦しみしか与えられなかった家族にすまない」などとつづり、火葬して遺骨を両親の墓にまいてほしいと希望。「みなさん、さようなら」と結んでいる。

8日には、元秘書の女性が、朴氏からセクハラを受けたとして警察に告訴状を提出していた。韓国メディアは、女性は、朴氏から触られたり、不適切なメッセージを送られたと訴え、やりとりの内容も提出したなどと報じている。

朴氏は人権派弁護士として活躍。93年韓国初のセクハラ訴訟も弁護した。11年に市長に初当選し、18年に3選を果たした。コロナ対策も評価され、5月の世論調査では支持率が60・5%に上っていた。