将棋の藤井聡太棋聖(18)が史上最年少タイトル獲得を目指している最中に、もう1つの「殺害予告」事件が起こっていた。

警視庁原宿署は30日、日本将棋連盟のホームページ(HP)に今月4日、藤井棋聖の名前を挙げた上で「対局をやめさせなければ殺害する」などとするメッセージを送信したとして、威力業務妨害の疑いで、住所不詳、会社員畠山拓也容疑者(43)を逮捕した。逮捕容疑は4日午後11時半ごろ、連盟HPの問い合わせフォームに殺害を予告する内容を書き込んで送信し、業務を妨害した疑い。翌5日、連盟から相談を受け、署が、メール情報から容疑者を特定した。

署によると、畠山容疑者は「テレビに出ている態度にイラッとした。こんなに大ごとになるとは思わなかった。申し訳ないことをした」と話しているという。

当時はタイトル戦の「棋聖戦5番勝負」と、「王位戦7番勝負」の期間中。16日、藤井は棋聖を獲得した。その前の6月24日には、藤井の地元である愛知県瀬戸市役所に殺害予告の電話が入っていた。署では今回の事件と関連がないか、調べる。

日本将棋連盟は、脅迫を受けて警備を強化。東京・千駄ケ谷「将棋会館」での対局時には民間警備会社の警備員を配したり、送迎の車に職員を同乗させるなどした。藤井棋聖が挑戦者として地方を転戦する王位戦でも、対局者らのガードに人員を割いて対応した。連盟は「容疑者が逮捕されてほっとした。ファンの方も胸をなで下ろしたのではないか」とコメントした。

ある将棋関係者は、「いつ模倣犯が出ないとも限らない。どの棋士に危害が及ぶかも分からない。絶えず気を配らないといけない」と、警鐘を鳴らした。【赤塚辰浩】