藤井聡太2冠に史上最年少での八段昇段を62年ぶりに更新された、「ひふみん」こと加藤一二三・九段(引退=80)が第61期王位戦7番勝負第4局(19日からの2日制、福岡市「大濠公園能楽堂」)を解説した。

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封じ手(42手目)の後手8七同飛成を、私は軽視していました。ここは後手2六飛と回るという想定で研究していました。以下先手2七歩後手2四飛と引けば、先手8二角と先手から打ち込み、後手7三角先手同角成後手同桂先手8二角とすれば、次の先手9一角成が間に合う。後手7三角先手同角成の後に後手同銀なら、先手8四歩後手同銀先手4六角で有望と思っていました。結果的に2日目の再開から、大変まれな飛車と角の打ち合い、前例のない手探りの将棋になっても、藤井さんが巧妙にチャンスをつかみました。

第2局と同じ相掛かりから木村さんが23手目に先手2五飛と戦い方を変えました。以下1筋に競り合って、藤井さんが36手目後手1二歩と、おとなしく打ちました。ここも、「自信を持って後で押し戻せる」という大局観が優れていたと思います。