自民党の石破茂元幹事長(63)は1日、国会内で会見し、安倍晋三首相の退陣表明を受けて行われる自民党総裁選(8日告示、14日投開票)に出馬することを正式に表明した。

石破氏にとって総裁選挑戦は4度目。安倍首相に肉薄、善戦した過去2回と異なり、「石破つぶし」と称される主要派閥による包囲網を敷かれた今回、情勢は特に厳しい。

石破氏は出馬に迷いはなかったのかと問われると、「迷いがなかったと言えば、うそになる」と、本音を口にした。

地方人気が高い石破氏にとって、すべての党員・党友に投票資格が与えられない形で総裁選が行われることは、不利なのは間違いない。周囲から「出ることに意味があるのかという意見もあった」と「撤退論」が出たことも認めた上で、「石破は逃げた、ポストを約束された(から出ないのではないか)と思われるのは、私の生き方を全否定することになる」と主張した。

その流れで「松本零士さんの作品にありましたが…」と、松本さんの名作「キャプテンハーロック」の一節「男には負けると分かっていても戦わないといけない時もある」を披露し、自身の心情を託した。

党員・党友に完全な形で投票資格が与えられないことについては「極めて残念だ。候補者がそれぞれ思うところを述べ、党員・党友という国民に判断いただく機会を示すことは、国民への責務だ」と強調した。

一方、各派閥からの支持広げる菅義偉官房長官について問われると「嫌な思いをしたことがない。菅さんは秋田、私は鳥取が地元。原点は地方。地方への思い入れ、原体験を共有している」と、述べた。

石破派は19人だが推薦人20人は確保した。今回のキャッチフレーズは「納得と共感」。「国民を信じて誠実に語れば必ず応えてくれる。わが党は国民政党だ。国民の納得と共感が得られる自民党でありたい」と述べた。

新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、得意分野の全国遊説は「なかなか難しい」と行わない方針で、リモートで個別政策を訴える。「声がかかれば取材も一切断るつもりはない。最大限の情報発信をしたい」とも述べ、党内世論と対照的に高い国民人気を生かした発信を目指す。