昨年にリチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰氏(72)は4日、静岡県庁を訪れ、川勝平太知事(72)から県民栄誉賞を贈られた。新型コロナウイルスの影響で延期された贈呈式に出席。笑顔で栄誉賞盾を受け取った。

2005年(平17)から約10年間、富士市にある旭化成支社の吉野研究室長として勤務。神奈川・藤沢市の自宅から新幹線通勤していた。記憶に残る出来事として、11年の東日本大震災を挙げた。会議中に強い横揺れを感じたという。当時は、リチウムイオン電池の市場拡大のため、高性能化の研究をしていた。

今年のコロナ騒動を受けて、東京一極の緩和が進むと見ている。東京に近い静岡のアクセスの良さを評価。都市機能の分散が見込めると予測し、「私が今後も静岡と、いろんな点で関わりがあると思う」と話した。【倉橋徹也】