自民党の石破茂元幹事長(63)は22日、自身が率いる石破派(水月会、19人)の会長を電撃辞任した。この日、行われた派閥の会合で辞意を表明し、9月の党総裁選で惨敗したことを理由に「責任は私にある」と語った。後任には派閥事務総長の鴨下一郎元環境相を推す方向で調整が進んでいる。26日に召集される臨時国会を目前にした石破氏の辞任を巡り、政界に波紋が広がっている。

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石破派の臨時総会で石破氏は派閥会長を辞任すると表明し、了承された。石破氏は電撃辞任の理由について9月の総裁選で菅義偉首相、岸田文雄前政調会長に敗れた責任を挙げた。「結果を出せず、同志に多くの負担をかけた。その責任を取るのが、私の選ぶべき道だ」と語った。石破氏は4度目の総裁選で議員票26票、地方票42票獲得も菅氏は議員票288票、地方票89票と圧勝し、岸田氏も下回った。

突然の辞意表明に派閥内は揺れている。「突然の辞意表明に驚いている。石破茂会長の熟慮の末の決断なので重く受け止めている」と側近の平将明衆院議員。石破氏は「鴨下一郎事務総長を中心に話し合い、決めてほしい」と後任人事や派閥運営を委ねたが、平氏は「今後のことは水月会のメンバーと相談して決めていくことになる」と述べるにとどめた。

石破氏は12年、18年の総裁選で安倍晋三前首相を相手に党員・党友による地方票を獲得して大健闘した。だが、前回の総裁選では地方票でも菅氏の半分以下という大差をつけられて大失速した。来年9月の次期総裁選へ向けて岸田氏が出馬意欲を明らかにしている一方で石破氏は「今の段階で、1年後に出る、出ないを言うのは少し違う」と明言を避け、白紙の状態だ。

週明けの26日に臨時国会が召集され、菅首相が初の所信表明を行うタイミングでの決断に波紋が広がっている。石破氏は派閥に残留し、派閥を維持する方針で総会後、党本部の二階俊博幹事長を訪ね、会長辞任を報告した。石破氏の求心力低下で他派閥から触手が伸びる可能性は否定できず、15年9月に派閥を創設した会長不在の中、派内の動揺は止まらない。【大上悟】