年末の風物詩「現代用語の基礎知識選 2020ユーキャン新語・流行語大賞」が1日発表され、コロナ禍を象徴する「3密」に決定した。3密状態の報道陣に対し、「密です」と注意喚起して話題を集めた東京都の小池百合子知事が受賞者を務めた。トップ10には「愛の不時着」、「あつ森」、「鬼滅(きめつ)の刃」などが選出されたが、コロナ関連は大賞を含め、6語を占めた。

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コロナ禍ワードが37回を迎えた流行語大賞を支配した。大賞の「3密」を含めてノミネートされた30語中、実に17語が新型コロナウイルス関連。3密は厚生労働省が新型コロナ感染リスクが高い「密閉」「密集」「密接」を避けるために呼びかけた3つの状況だ。一躍注目されたのは「密です。密です」と殺到した報道陣に対し、注意喚起した小池都知事で、ツイッター上には投稿が殺到し、ゲームまで登場した。

授賞式の風景もコロナ禍が色濃く反映された。小池氏は公務のため、トップ10入りした「オンライン◯◯」によるリモート会見で「この言葉が強く印象づけられたと受け止めています。元々の発信は専門家の方々でありましたが使い方にも工夫させていただいた」などと述べた。

コロナ関連以外では「愛の不時着」「あつ森」「鬼滅の刃」「フワちゃん」がトップ10入りした。それでも選考委員の金田一秀穂氏(杏林大教授)は「日本語は複数のものを1つにまとめるのが上手。3Kとか3高とか。3密も分かりやすく伝えられ、日本語の得意技を示した」と評したが、「もうちょっと違う言葉を選びたかった。熟さない言葉が多く、うんざりさせられた」と困惑顔だった。姜尚中選考委員(東大名誉教授)は「今年はコロナに始まり、ほぼコロナに終わる。それにもかかわらず、『アマビエ』『鬼滅の刃』『愛の不時着』とか、ロマンを求めた成果が10語の中に入っている」と分析した。

東京五輪・パラリンピック延期の影響もあり、今年はスポーツ関連のノミネートはゼロ。ラグビーW杯イヤーの昨年は大賞「ONE TEAM」を含め、「ジャッカル」、「にわかファン」、「笑わない男」などがノミネートされたのとは対照的だった。姜氏は「来年は何とぞ、ロマンに満ちた言葉。ほんわかした時代であってほしい」と、コロナ禍の1年を結んだ。【大上悟】