野球漫画「ドカベン」「野球狂の詩」などで人気を集めた漫画家の水島新司さん(81)が1日、所属事務所を通じて引退を発表した。球界内外問わず、プロから子どもたちまで幅広い世代にファンが多く、影響力は絶大。18年8月に発表した「あぶさん」の読み切りが最後の作品となった。58年のデビューから、63年間の執筆生活は“ゲームセット”となったが、決断した詳しい理由は明らかにしていない。

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漫画家の水島新司さん(81)の引退発表を受け、大勢のプロ野球選手が訪れ、野球ファンの聖地としても知られる東京・四谷の居酒屋「あぶさん」店主の石井和夫さん(71)は「60年間、お疲れさまでした。感謝しています」と話した。石井さんは友人の紹介で、水島さん率いる草野球チームでプレーした。その縁で、代表作の1つ「あぶさん」の名称使用許可をもらい、86年に店をオープンした。

草野球の試合で、二塁を守っていた石井さんが失策すると、投手の水島さんから「何しているんだ!」と大きな声で怒られたという。石井さんは「相手チームが『あぶさんのオヤジが怒られてるよ』とびっくりしてましたね。野球ではよく怒られました。後半は怒られっぱなしでした(笑い)。先生は本当に野球が大好きな野球少年でしたね」と懐かしそうに振り返った。81歳まで現役だった水島さん。石井さんは「すごいことですよね」と話した。