安倍晋三前首相(66)が25日午後、衆院議院運営委員会に出席し、後援会主催の「桜を見る会」前日の夕食会費用補填(ほてん)問題をめぐり、事実と異なる答弁をしたことについて、訂正した。

前日24日に国会内で行った記者会見同様、「結果として、(これまでの答弁は)事実に反するものがあった」と説明。「会計処理は私の知らなかった中で行われたこととはいえ、道義的責任を痛感している。深く深く反省しているとともに、おわびいたします」と陳謝した。

野党側からは厳しい追及を受け続けた。“天敵”の1人、立憲民主党の辻元清美議員は「民間企業で公の場で虚偽の説明を100回以上もやって、社員にだまされたと言い訳して通用するのか。コンプライアンス失格で、社長は辞職だと思う。これ以上のことをやったという自覚があるのか」と指摘した。安倍氏は「大変厳しいご指摘をいただいた」とした上で「結果として答弁が間違っていた。知らなかったとはいえ、その責任はひとえに私にある」とかわした。

辻元氏は「コロナ対応だったら命にもかかわること。子供の教育にも悪い」などと語気を強め、議員辞職を迫ったが、安倍氏は「信頼回復する努力を重ねていき、課せられた責任を果たしていく」とやんわり否定した。

また、辻元氏は報告書で3年分の夕食会領収書がないと記されているのに、費用や補填額など、なぜ細かい金額が分かるのかと質問。「細かい数字が書けるのは帳簿があるということ。ここに出していただけますか。こういうのを裏帳簿というんですよ! 別の帳簿が存在しなければ、細かいことは書けないはず」と批判した。安倍氏は「そんなもの(=裏帳簿)はないと認識している」と答えた後「事前に十分な通告がなかったので、こういう答弁になっていることを申し訳ないと思っている」と、嫌み混じりに言い訳する場面もあった。

最後に辻元氏は、安倍氏が「ない」と繰り返し国会で答弁してきた夕食会の明細書や紛失した記載された3年分の領収書の再発行と提出を迫った。安倍氏「それは検討させていただく」とホテル側に再発行を求め、提出する構えを見せた。

一方、明細書については「明細書を公表するのは、(ホテル側から)営業上の秘密にあたるので、公開を前提としてお渡しできないと言われている。差額について補填したことは事実の訂正をさせていただいたが、捜査当局が厳しく捜査し、明細書も含め、今回は寄付に当たらないと判断された」とし、自らが不起訴処分となったことからも、提出する考えがないことを示唆した。

辻元氏は「この期に及び、これまでと同じ答弁をされている」とあきれ返り、証人喚問を求めた。