前東京都知事の舛添要一氏(72)が11日、取材に応じ、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の森喜朗会長が辞任の意向を固めたことに対し「今後、五輪開催への状況は厳しくなるのでは」と危惧した。

「森さんはIOC(国際オリンピック委員会)バッハ会長と築き上げてきた関係性でツーカーな部分があったが、(後任候補の)川淵さんでは無理。森さんに頼んで関係をつないでもらわないともたないと思う」

今回のゴタゴタで開催反対論がさらに強まるか、ワクチン接種が始まって開催論が盛り返すかは分からない。舛添氏は進退の結論時期にも疑問符を付けた。

「開催、中止は、あと1カ月くらいで正式に決まる。そこまで、待てなかったのかなと思う。五輪を成功させることに関してはマイナスに働いてしまうのでは。中止になれば後始末になるし、開催となれば、そこから新しい顔のトップでスタートしても良かった。森さんの件で否定的なコメントを出したスポンサーでも、降りた企業はない。本音と建前はある」

一方で、辞任せざるを得ない状況に追い込んだ国内外の要因も分析した。

「海外でも『女性差別』『五輪憲章に反する』と報道されたことは大きかったと思う。海外のメディアは、おそらく発言の全文などを見たり聞いたりして報じていないと思う。スイスとかベルギーとかもあるけれど、五輪報道に影響力があるフランス紙ルモンドが厳しいことを書いてしまったことで、さらに悪いイメージが形成されてしまった。日本では7月の都議選や秋の衆議院解散総選挙も影響しているんです。五輪をつぶしたい人、菅内閣をつぶしたい人が、森さんの騒動を利用して、国民票を得ようとしている。自民党サイドも(森会長の擁護は)強く言えない部分もある」

知事時代に親交のあった川淵氏の長所にも言及した。

「政財界に関しては元首相と比べると少し弱いが、サッカーやバスケットボールなどスポーツ界をまとめた実績はある。国民的にも人気はあるし、悪く言う人はいない。森さんはとっつきにくく、怖いイメージを持つ人がいるが、川淵さんはフランクに包み隠さずに誰とでも分け隔てなく話す人なので、IOCなどにも受け入れられると思う。私が知事の時にも関係ある事象の時には必ず一報入れてくれていました。雰囲気が明るくなるプラスの面もあると思います」

五輪開催を願う1人として、森会長続投派ではあったが、新体制にも期待を寄せた。【鎌田直秀】