東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性蔑視発言をめぐり10日、17日に予定された4者会談欠席を唐突に表明した小池百合子都知事にとって、結果的に森会長に「引導を渡す」形になった。
小池氏自身は国会議員時代から森氏とは関係が悪く、菅義偉首相とともに「犬猿の仲」であるのは知られた話だ。ただ、東京大会開催都市トップとしては、大会成功という同じ目的がある。その点では首相とも森会長とも協力し合う立場で、「大人の関係」(政界関係者)を保ってきた。
そのため、今回も自ら直接辞任を求めることはしなかった。ただ、国内世論の批判の高まりに加え、都にも抗議などの意見が殺到。ボランティア辞退の動きも出てきた。海外メディアの報道で、海外でも日本の女性差別問題としてスポットライトが当たり、大会スポンサーからの風当たりも強まり始めた。
当初は「謝罪で決着ずみ」の立場だった国際オリンピック委員会(IOC)が、発言に関して「完全に不適切」との見解を示す手のひら返しのような対応に転じたことも含め、小池氏は事態の流れを冷静に見極めていたとみられる。小池氏自身の発言も、この間、微妙に変化してはいたが、傍観するだけの立場では、今後自身に火の粉が降りかかることにもなりかねない。
小池氏は独特の政治勘があり「負け戦には首を突っ込まない」といわれる。10日の「4者会談欠席表明」は直接の辞任要求ではないものの、そこに限りなく近いギリギリのラインだ。森会長の発言に対する「風」を読み、現状のままでは大会への悪影響は避けられないと見越し、局面を一気に変えるような動きに踏み込んだ可能性もある。【文化社会部次長 中山知子】

