東京都の小池百合子知事(68)は12日、都庁で定例会見を行い、東京五輪・パラリンピック組織委員会の会長後任人事に関し、人選の透明性を求めた。適任者に関しては男女を問わずに、男女平等を含めた五輪コンセプトの理解度を重要視。大会開幕約5カ月前のゴタゴタ劇について「世界が見ている。注目の的」と語気を強め、五輪成功への信頼を回復させる発信のチャンスとも捉えた。

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小池知事は、コロナ禍や森会長発言による五輪開催否定論からの逆転劇に目を輝かせた。会長後任人事の白紙を受け「どのような決め方をしていくのか、手続きの透明性を世界が見ている。オリンピック憲章とか、アジェンダ2020の考え方を、どのように発信していくのか、世界の注目の的。東京にとっても発信のチャンス」。五輪の本質や基本原則を示した五輪憲章、五輪の未来を形作る計40の提言をまとめた五輪アジェンダ2020を逸した反響を覆し、多くの困難を乗り越えて成功させた「東京」をレガシーと変えるつもりだ。

10日のIOC(国際オリンピック委員会)、組織委、政府との4者会議への欠席表明が、結果的に森氏の辞任につながる形になった。森体制から脱却しての再スタートに向け「今日初めてワクチンも日本に届いた。次の会長が決まってポジティブな状況になれば、発信する機会にすべき。1ボイスで進めることが大切」と結束を示す方向転換を示唆した。

後任は「組織委員会が考えること」とした上で「やはり、今回は女性に対しての問題があった。IOCバッハ会長も、そこにこだわって多様性やアジェンダ2020を訴えてきた。かつ女性アスリートの参加パーセンテージをどう上げていくかなど、五輪のコンセプトを理解している人が必要」と理想を掲げた。

男女は問わない。女性記者から「知事は女性初の防衛大臣、都知事として女性のトップランナー。組織委の会長に、民間を含めた女性起用はどうお考えか?」と質問されると「まず、それは日本独特の質問だと思います」と一喝した。「男性、女性ではなく、多様性、調和を実現するためには、どういうリーダーが必要なのかが問われていて、それがたまたま女性か男性かということ」。森氏に対しても「スポーツ界、東京五輪・パラリンピックを引っ張ってきたのは森会長。敬意を表したい」と労をねぎらった。【鎌田直秀】

○…小池知事は都の審議会等における女性委員任用率40%を目標に掲げた。推移などの資料を配り「私の就任した時は27・6%。現在は32・9%。本来は50%を目指すのがあるべき姿です」とした上で、「令和4年までに、まず40%を目指していく。日本は女性の力を生かしきれていない、もったいない。都政は女性を生かす、声を聞く社会にしていきたい」と話した。