米国でオリンピック(五輪)の放映権を持ち大きな影響力を持つNBCは25日、ニュースサイトに、「東京五輪の聖火リレーを消すべきだ」と題する寄稿を掲載した。執筆したのは元プロサッカー選手でもある米パシフィック大政治学教授のジュールズ・ボイコフ氏で、「コロナのパンデミック(大流行)の中、聖火リレーは公衆衛生を犠牲にする危険がある」などと主張した。

ボイコフ氏は「聖火リレーから始まる今回の夏季五輪はパンデミックを悪化させる可能性がある」と指摘。「開幕時、国民はワクチン接種を終えていないだろう。海外からの何千人もの選手やコーチ、記者らもワクチン接種を受ける必要がない」とし、「国民は当然不安を募らせ、80%が中止か再延期を支持している」と状況を伝えている。

また、スタート地の福島県について、原発事故などを紹介した上で「この儀式の偽善、危害、不条理を浮き彫りにし、日本の問題を象徴している」「復興五輪とうたったが、五輪準備のため、復興のリソースは東京に向けられた」などとも指摘した。

さらに聖火リレーが36年ベルリン大会で始まり、ナチスのプロパガンダに利用された歴史も紹介し、疑問を投げ掛けてもいる。NBCは2月にも、当時の組織委・森会長の辞任を求めるボイコフ氏の寄稿を掲載した。