聖火リレーは11日、奈良県を巡った。

トップランナーは鈴木康友さん。甲子園球児として天理高校の強打の遊撃手として活躍。大学進学を希望していたが巨人にドラフト5位で指名され、当時の長嶋監督の強烈なラブコールに押し切られてプロ入りした。

13年間の選手生活の後、指導者としての腕を買われてプロ5球団、地方の独立リーグ球団3球団でコーチとして若手を育ててきた。

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-走り終えてどんなことが印象に残っていますか

鈴木さん 3年前、白血病に移行する恐れのある骨髄異形成症候群という血液のがんを患って完治を目指して骨髄移植をしたんですね。2016年に生まれた赤ちゃんとそのお母さんをつないでいた「へその緒」から細胞を搾取して、それをいただいた。移植して僕の命がつながったんです。そういう意味でこの聖火をつなげる、ということは、なかなかお会いしてお礼をいうということはできないですけれども、そういった感謝の気持ちを込めてですね、骨髄を提供してくださった家族のみなさん、それと僕の闘病中にいろいろ支えてくれたみなさん、長いことスポーツ界にいましたので、スポーツ界への感謝の気持ちというか、そういうことを思って走らせていただきました。

で、この病気は治療が大変で、つらいんです。こういった同じ病気でね、闘病されている方々の…方々に少しでも元気づけられたら、と。そういう思いもあって、走らせてもらいました。

-スポーツの力、魅力とは

鈴木さん 最近、(競泳の)池江(璃花子)さんがね、すごく東京オリンピック無理だと思っていたのがね…実はね、僕が3年前で、彼女は2年前に罹患(りかん)して、それでも、もうあれだけ復帰されているんですね。僕が入院中に(池江さんが)パンパシフィック大会とか、アジア大会でいっぱいメダル取ってきて、うわーこれ(東京)オリンピックでいっぱい活躍してくれるわ、と僕は入院中にそうみていたんですけれども、(池江さんが)退院してからまさか1年でね、ご自身が白血病といわれてね、うわー大変だな、治療は大変だよ、と思っていたのが、ここんとこの予選大会をみていて涙が出てきますね。本当、頑張ってもらいたいです。

もう1点は…すみません、(インタビュー時間が)長くなって、野球はこの大会で競技がね(2024年パリ大会では)なくなってしまうので、メジャーから帰ってきたまーくん(楽天田中将大)と、それからメジャーに行けなかった(巨人)菅野(智之)くんと…行かなかった菅野くんと頑張ってもらってね、日本シリーズ…その前に東京オリンピックで(野球競技は日本代表が)金メダルを取ってほしい、と。秋には(楽天対巨人の日本シリーズ)そういう風になればいい…まあ、でも今年はちょっとはタイガースが強いようですけどね(笑い)

-「命をつないでもらった」との言葉もありましたが「つなぐ」ことで大切なことってどういう思いがあるでしょうか

鈴木さん まあ、相手を敬うとか、感謝の気持ちとか、自分だけのことを考えるのではなく、そういうことがすごく大事だと思うし、僕も生きていることに感謝していますね。本当にありがたいな、と。で、奈良県のトップを走らせていただいて、こんな光栄なことはなくて、本当にありがたかったです。貴重な時間をありがとうございました。

-ご自身にとってはどんな時間を過ごされましたか

鈴木さん いやー、もう最高でしたね。今日の天気も良かったですしね。なんか昨年は大雨だったらしいですね、4月11日。だから(五輪が)延期になって、この晴天でよかったです(と握りしめたトーチを見つめる)。

聖火リレーは12日も奈良県で行われる。