東京・上野動物園のジャイアントパンダ、シンシン(雌、15歳)に妊娠の兆候が確認されたことが4日、分かった。シンシンとリーリー(雄、15歳)は今年3月6日に2回、4年ぶりの交尾行動が確認されていた。妊娠の兆候を示しながらも実際には妊娠していない「偽妊娠」の可能性もあるが、17年6月12日に誕生したシャンシャン(雌、3歳)の弟か妹ができるか、期待が高まっている。

同園によると、シンシンは、5月23日ごろからタケの採食量にわずかな減少が見られ、同31日ごろ以降は通常の4分の1程度まで減っている。休息時間はわずかに増加し始め、6月2日ごろには通常の2倍程度の休息をとっている。尿中の妊娠を示すホルモン代謝物の検査でも、妊娠時に見られる特徴的な変化を示している。また5月10日から、動物舎内にある産室への「馴らし」を始め、現在は休息する際に時々利用することが確認されている。健康状態は良好で、体重は126・2キロ。

ジャイアントパンダは妊娠期間に幅があるため、出産予定日は不明という。シャンシャン誕生の時は、17年5月16日ごろに変化が見られ始め、同年6月12日に出産した。

冨田恭正副園長は「交尾をした時点からずっと期待しておりました。何とか生まれてくれたらなと、夢にも思います」と喜んだ。同園はコロナ禍による臨時休園から4日に再開園(入園には整理券の事前予約が必要)したが、シンシンの公開は休止された。冨田さんは「万全の体制で体調管理に努めたい」と話している。リーリーとシャンシャンは公開している。

小池百合子都知事はこの日の定例会見で「現時点では本当に生まれるか、はっきり申し上げることは難しいが、グッドニュース。赤ちゃん誕生の報告できること、みなさんと楽しみに見守っていきたい」などと述べた。

【シンシンとリーリーの交尾行動など】 シンシンは、今年2月23日ごろから尿中ホルモン値の変化が表れ、同24日ごろから放飼場でマーキングの回数が増えた。同26日夜間から体の一部を冷やす様子も見られ始め、発情のピークが近づいていると判断された。

リーリーも、20年11月中旬から、逆立ち排尿やマーキング、体のこすりつけの回数が増えたり、雌の部屋や放飼場に入る際に床や雌の排せつ物のにおいをかいだりするなど、発情期によく見られる行動が現れ、継続していた。

3月6日になって、柵越しのお見合いを実施したところ、2頭が頻繁に鳴き交わし、雌が尾を上げて雄を受け入れる態勢を取るなど、強い発情の兆候が見られたため、同じ放飼場に入れて同居させたところ、同夕と同夜の2回、交尾行動が確認された。その後、発情は収束に向かったという。

同園によると、ジャイアントパンダの繁殖期は一般的に年1回、2~5月くらいにやってきて、この期間中に雌が妊娠する可能性が高まるのは数日間だけという。シンシンとリーリーは11年に中国からやってきた。