東京・池袋の都道で19年に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で在宅起訴された、旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三被告(89)の第8回公判が21日、東京地裁で開かれた。この日は、被害者参加制度を使って裁判に参加した真菜さんの夫の松永拓也さん(34)が、同制度を使って飯塚被告に直接、質問した。

松永さんは「まず、亡くなった私の妻と娘の名前を言えますか? 漢字が分かりますか?」と問いかけた。飯塚被告は名前は答えられたが「真という字に…定かではありませんが、菜の花の菜ではないか? 莉子さんは難しい字なので、ちょっと書いてみることが出来ないかと…。申し訳ありません」と答えた。

また4月27日に行われた初の被告人質問の際、ドライブレコーダーの映像と自身の記憶に食い違いが4つあると認めたことは、改めて認めたものの「アクセルを踏んでもいないのにエンジンが異常に高速回転し、加速した」などと、あくまで問題は車両の方にあり、自身には過失はないという主張を繰り返した。その上で「心苦しいとは思いますが。私の記憶では(アクセルとブレーキの)踏み間違えはしておりませんので、私の過失はないものと思っております」と主張した。

松永さんが「本心で主張に無理はあると思ってないんですか?」と問いかけても「暴走状態の車を止められなかったことは悔やんでいます」と答えた。「証人、証拠を見ても気持ちは揺るがない?」と松永さんが問いかけると、飯塚被告は「はい。同じ思いでおります」と無罪主張に変わりはないと断言した。