将棋の最年少タイトルホルダー、藤井聡太王位(棋聖=19)が豊島将之竜王(叡王=31)の挑戦を受ける、第62期王位戦7番勝負第3局が21、22の両日、有馬温泉(神戸市北区)の中の坊瑞苑(ずいえん)で行われ、先手の藤井が豊島を117手で破り、シリーズの対戦成績を2勝1敗とした。最年少で防衛した棋聖に続き、王位のダブル防衛まであと2勝とした。第4局は8月18、19日に佐賀県嬉野市「和多屋別荘」で行われる。

「関西の奥座敷」と呼ばれる有馬温泉で、2日間にわたり、両者の読みと気迫が盤上に投影された。1勝1敗のタイで迎えた第3局はシリーズの流れを大きく左右する一番。藤井は「公式戦では久しぶりでしたが、(採用)してみようかなと」とエース戦法の「角換わり」で挑んだ。

序盤から入念な研究手を繰り出すと、豊島も応じる。2日目は豊島がやや優位の形勢から再開したが、昼食休憩を挟み、藤井が反撃をスタート。勝機を見いだすと、鋭く踏み込み、最後は持ち前の終盤力で快勝した。終局後、藤井は「封じ手の局面で自信がなかった。本譜は細い攻めでしたが、勝負しようと思いました。攻めとしてつながる形になったので、こちらの玉を囲ってあるのが生きる展開になりました」と振り返った。

過去2勝7敗だった「天敵」から公式戦では初の連勝。19日に19歳を迎えてすぐの対局を勝利で飾った。25日に始まる叡王戦5番勝負では、豊島へ挑戦することが決まっている。2つのタイトル戦で最大12局を指す「真夏の12番勝負」。19歳の夏はこれからが本番だ。【松浦隆司】