連載「鳥海高太朗の静岡深掘り」第20回は「フジドリームエアラインズ(FDA)による燃油サーチャージ値上げの影響について」です。月1回、航空・旅行アナリスト鳥海高太朗氏(47)が、静岡に関する身近な話題を分かりやすく解説。お得な情報もお伝えします。
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静岡空港を拠点としているFDAは21日、5月1~31日発券分に適用する燃油サーチャージの改定を発表した。FDAは国内線で唯一、燃油サーチャージを導入している航空会社であり、毎月徴収額を見直している。今回の改定では、中東情勢の影響による原油価格の高騰を背景に、大幅に引き上げられた。具体的には、静岡~出雲線では2900円、静岡~札幌線や福岡線では3000円となり、航空券とは別に徴収される。4月発券分では700円から1300円程度だったことを考えると、3倍近い大幅上昇となる。
燃油サーチャージは国際線では一般的で、多くの航空会社ではジェット燃料価格の指標となるシンガポール・ケロシン市況を基準にしている。FDAによると、3月の平均価格は1バレルあたり191・2ドル、為替は1ドル=158・6円となり、現在設定している基準額の上限を超えている。日本政府による「中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置」に基づく航空燃料への補助の効果を考慮しても、上限を超えている状況になっている。本来ならさらに高額となる可能性があるが、今回は適用上限表の上限額にとどめる形となった。
なお、燃油サーチャージは発券時点の金額が適用されるため、5月以降の搭乗であっても、4月中に購入すれば現在の低い水準での額が適用されるので、予定が確定している場合は今月中の購入がおすすめだ。一方で、ANAやJALなど他の国内航空会社は、これまで国内線に燃油サーチャージを設定せず、運賃に燃料上昇分を織り込む形を取ってきたが、今後は国際線同様に国内線でもサーチャージを導入する動きが出始めている。日本の航空運賃の仕組みは大きな転換期を迎えつつある。影響はしばらく続きそうだ。
○…燃油サーチャージの高騰はインバウンドへの影響も懸念される。ANA、JALは当初の予定から1カ月前倒しで、国際線燃油サーチャージの引き上げを5月1日発券分からにすることを20日に発表した。5月1日以降、日本~欧米路線ではANA、JALともに片道5万6000円(4月発券分ではANAが片道3万1900円、JALが2万9000円)となる。
4月中に購入することで夏休みや秋、冬の旅行において、現在の燃油サーチャージ額が適用されるので今月中の購入がおすすめだが、このままの状況であれば、5月に続いて7月以降はさらなる燃油サーチャージ額の引き上げの可能性が高い。また航空券価格自体も上昇傾向にあり、長距離路線ほどその影響は大きい。
旅行コストの上昇は避けられず、訪日需要の減速要因となり得る。こうした状況が、静岡県の観光にも夏以降に影響が出る可能性がある。特に富士山周辺観光地は海外からの来訪者が多いこともあり、今後の中東情勢次第ではあるが、影響は避けられないだろう。日本人の旅行についても、国内旅行へのシフトが進む可能性もあり、静岡県としては国内需要の取り込みを強化することが重要となってくるだろう。

