豊島将之竜王(叡王=31)への挑戦権を争う将棋「第34期竜王戦挑戦者決定3番勝負第2局」、藤井聡太王位(棋聖=19)対永瀬拓矢王座(28)戦が30日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」で行われた。午前10時から始まった対局は、午後8時18分、先手藤井が77手で勝ち、連勝。初の挑戦権を獲得した。豊島との7番勝負第1局は10月8、9日、東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」で行われる。

藤井は、着実な指し手で歩み寄った。昨年6月の棋聖戦と王位戦の挑戦者決定戦で連勝した永瀬から、またしても大きな勝利を挙げる。相掛かりから中盤、リードを奪う。午後6時40分の夕食休憩後、59手目先手8一飛と打ち込み、勝負を決めに行く。「先手6五桂(61手目)から手順に攻めが続く形になり、指しやすくなったと思いました」。永瀬に粘る余地を与えず、手堅く押し切った。

2016年(平28)12月の加藤一二三・九段(81)とのデビュー戦、29連勝の連勝新記録、その直後の初黒星など、竜王戦には思い出がある。翌年、最下級のランキング6組を制すと、18年5組、19年4組、20年3組、21年2組と毎年優勝と昇級を果たした。史上初の快挙だ。決勝トーナメントでは敗れていたが、ようやく大舞台に立てる。「将棋界最高峰のタイトル戦に挑戦できるのはとても光栄」と、喜びをかみしめた。

現在挑戦中の叡王戦5番勝負第5局(9月13日、東京・千駄ケ谷「将棋会館」)で豊島に勝つと、叡王を奪って史上最年少3冠となる。その豊島と王位戦、叡王戦に続いて三たびタイトル戦で相まみえる。「王位戦の反省を踏まえ、いい内容にしていければ」。

今回の挑戦権獲得で、年内4冠の可能性が出てきた。竜王戦4連勝なら、19歳4カ月弱での獲得。羽生善治九段が89年12月、19歳3カ月で達成した竜王獲得の最年少記録には及ばないが、年齢を意識せず頂点に挑戦する。【赤塚辰浩】

【第34期竜王戦7番勝負日程】

◆第1局 10月8、9日、東京都渋谷区「セルリアンタワー能楽堂」

◆第2局 10月22、23日、京都市「仁和寺」

◆第3局 10月30、31日、福島県いわき市「新つた」

◆第4局 11月12、13日、山口県宇部市「ANAクラウンプラザホテル宇部」

◆第5局 11月26、27日、岡山県倉敷市「円通寺」

◆第6局 12月4、5日、鹿児島県指宿市「指宿白水館」

◆第7局 12月17、18日、山梨県甲府市「常磐ホテル」