立憲民主党の枝野幸男代表(57)が10日、埼玉・JR武蔵浦和駅西口で19日から始まる総選挙に向けて街頭演説を行った。

枝野氏は自身の選挙区である埼玉5区に近い同15区に降り立ち、濃紺のマスクに白い長袖ワイシャツの袖をたくし上げながら約30分、マイクを握り続けた。演説冒頭では「新しい経済」を標榜する岸田文雄首相(64)に対して「私も分配と主張してきて、似たようなことを経済対策として出してきたので、ちょっと期待しました」とやわらかい口調で話し、直後に「でも、やっぱり株価だけ上げて何も効果のなかったアベノミクスと中身は同じでした」と語気を強めて批判した。

さらに「この前、自民党総裁選挙、やっていたでしょ? あの4人の候補の誰よりも私の方が若い」と集まった約300人の聴衆の笑いを誘いながら「子育てや老後や雇用の不安を小さくすることは社会保障じゃない。それは福祉でもない。景気対策なんです。みなさんの賃金を上げましょうと、私は4年前の総選挙から具体的に言ってきた」と持論を声高に叫んで訴えた。

そして民主党が政権与党だったころの話題を出し「10年前に官房長官の職を離れて、首相官邸を去りました。あのとき私は決意しました」と一拍置いてから「次の日本の危機までに(国民の)命と暮らしを守るために今度はこの官邸に総理として戻って、安心できる機能する制度を作りたい。そう決意して、この10年間準備してきました」と言葉に力を込めた。

最後に「4年前の総選挙は野党がてんでんばらばらの戦いでした。久方ぶりに衆議院で最大野党が現有議席で100人を超える。そして久方ぶりに立憲民主党は衆議院の過半数を超える候補を出せる」と説明して「自民党の岸田文雄さんか、立憲民主党の枝野幸男か、あなたの一票で総理大臣を替えることができる。みなさんの力で替えようではありませんか」と夕闇の迫る空に叫んで聴衆の拍手に包まれた。