自民党の小泉進次郎前環境相(40)が、衆院選(31日投開票)公示後初の週末を迎えた23日、都内で“小泉劇場”を繰り広げた。

JR上野駅前を皮切りに、都内で8人の候補者を巡って応援演説予定。登場すると有権者からは悲鳴のような歓迎の声も毎回上がり、一斉にスマホでの撮影が始まった。総裁選では出馬した河野太郎氏を、石破茂氏とともに応援する“小石河連合”を組んで敗れ、岸田新政権では閣僚を外れたが、党候補者や有権者からの人気は健在。京王線調布駅前では交通渋滞のため、車を降りて数百メートルを走って選挙カーに飛び乗る姿でも魅了した。

JR蒲田駅前では、自身の育児休暇取得経験を伝えながら、子育て支援などの重要さを発信した。「なんで政治家なのに、大臣なのに育休を取るんだという批判の声もありました。もちろん、かけがえのないかわいさ、幸せは子どもからもらえます。一方で、コーヒーやお茶を飲む暇もないのが育児の現実。1人でトイレに入れないのも育児。ベビーカーで外出して、なんとか泣かないでいるようにと肩身の狭い思いをする感覚も経験した。育児と仕事の両立をしやすい空気に変えないといけない」。聴衆に子どもを抱っこひもで抱える男性を見つけると、「お父さん、いま育休かな? 本当にそう」と直接問い掛けた。「まさに、今までなかった景色ですよ。お父さんが抱っこひも付けて育休中に街頭演説を聴きにきてくれている。育児イコール女性じゃなくて、1人1人が役割を果たす多様な生き方が出来る社会に変えていくこと。これも時に政治家が批判を浴びてでも空気を変えなかったら世の中動かない」と熱弁すると、大きな拍手を浴びた。

演説後は、有権者のもとに訪れ、握手会ならぬグータッチで交流も図る場面もあった。親子らと並んで記念撮影するだけでなく、野球ボールへのサインの求めにも快く応じるなど、限りある時間で、自民党候補者のために“ファンサービス”を惜しまず続けた。【鎌田直秀】