将棋日本シリーズJTプロ公式戦(JT杯=優勝賞金500万円)の準決勝、藤井聡太3冠(王位・叡王・棋聖=19)対永瀬拓矢王座(29)戦が3日、名古屋市内で行われ、先手の藤井が99手で永瀬を破り、初の決勝に進出した。21日に千葉市内で行われる決勝で、前年度のJT杯覇者である豊島将之竜王(31)と激突する。

持ち時間が各10分の超早指し棋戦。戦型は角換わり。決断力と集中力が求められる早指し戦で、永瀬が思い切り良く踏み込んだ。藤井は辛抱強く受け、勝機をうかがった。終盤、藤井が勝負手を連発し、鮮やかに寄せきった。終局後、藤井は「けっこう受けるのが難しかった」と1手1手を冷静に指した。さらに「こちらの陣形にもキズがあるので、難しいかなと」と振り返った。

新型コロナウイルスの感染拡大の伴う緊急事態宣言が解除され、藤井にとっては約2年ぶりの公開対局となった。今年7月に棋聖、8月に王位を防衛し、9月に叡王を奪取して19歳1カ月の史上最年少3冠となった。偉業達成後、初めての地元凱旋(がいせん)だった。

両者は練習将棋を指す間柄で、お互いの将棋や性格は熟知している。仲間であり、ライバルだ。これで両者の対戦成績は藤井の7勝1敗。

JT杯はタイトルホルダーと賞金ランキング上位者の計12人による勝ち抜き戦。優勝賞金500万円、準優勝150万円。

初の決勝進出を決めた藤井は決勝で豊島戦に向け「決勝戦は初めてになる。これまで通り集中して、思い切りよく指したい」と意気込んだ。