「わが子を日本人妻に誘拐された」と訴えて国際的な関心が集まっていた在日フランス人男性(39)の妻である日本人女性に対し、仏当局が国際逮捕状を出したことが明らかになった。結婚生活破綻後に妻が子供を連れ去って父親に会わせないのは略取に当たるとし、親による誘拐と未成年者を危険にさらした容疑が持たれている。

ヴィンセント・フィショ氏は、3年前に一家が暮らしていた東京の自宅から妻が6歳の長男と4歳の長女を連れ去って消えて以降、子供に会えていないことを国際世論に訴えるため、今夏の東京オリンピック直前に都内で3週間のハンガーストライキを行っていた。開会式に出席するため来日したマクロン仏大統領はこの問題に対し、当時の菅首相と協議することを求めたことが報じられていた。英BBCは、両親が離婚または別居した場合の共同親権が法的に認められていない日本で「親による誘拐」についての論議を復活させたと伝えている。

同氏は以前のインタビューで、妻は裁判で家庭内暴力(DV)を受けたと訴えたが、後にその主張を撤回していると明かし、「あらゆる手を尽くし、子供のために妻を説得しようとした。子供の安否も分からない」となす術がないことを明かしていた。フィショ氏の妻の弁護士は、離婚手続きは進行中であり、法廷の外で争うことは望んでいないとコメントしている。

国際結婚をしたカップルの片方が、別居や離婚後に子供を連れ去って姿を消すケースは年々増えており、人権団体によると日本では毎年約15万人の18歳未満の子供が強制的にどちらか一方の親から引き離されていると推定している。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)