野球漫画「ドカベン」「あぶさん」などで人気を集めた漫画家の水島新司さんが10日、肺炎のため東京都内の病院で死去した。82歳だった。

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野球漫画「あぶさん」の主人公、景浦安武が愛飲する日本酒として実名登場した銘柄「越乃寒梅」に、水島新司氏を悼む新酒誕生構想が浮上した。製造、販売する石本酒造(新潟市)の石本龍則社長(54)は17日、「今後、出せるかどうかお約束は出来ないが、水島先生のファンの皆様が(先生やあぶさんを)思い出しながら飲めるお酒を造る機会もつくっていくことも良い」と検討する意向だ。今後は追悼企画などが開催される可能性もあることから「イベントに花を添えられるようになれば」。「越乃寒梅あぶさん」「ホームラン越乃寒梅」などが実現すれば、あぶさん談義もさらに花が咲きそうだ。

石本社長と水島氏の出会いは幼少期だったと言う。日本酒を描く前に同社を訪れ、製造過程などを見学に来た時だった。「先生の膝の上に座って写真を撮っていただいた。目の前でササッと色紙に、あぶさんだったり、ドカベンの山田太郎や岩鬼など何枚も絵を描いてくれた。『うわあ~本物だ』と驚き、ひげ面の先生が輝いて見えました」と懐かしんだ。

「今でも『越乃寒梅って、あぶさんのお酒だよね』と言っていただける。先生は故郷新潟を全国に知ってもらえるように考えていただける方でした」。地元愛にあふれた水島氏に感謝の意を表した。【鎌田直秀】