店に自動車が突っ込む事故を3度も経験した東京・高田馬場駅前のサンドイッチ専門店が、同じ場所で負けずに店を開いている。3度の事故のうち、2回目は昨年8月、3回目が同年12月のコロナ禍中の事故だった。それでも踏ん張り、1月18日に営業を再開した。

店は、JR高田馬場駅から徒歩1分。日本のベトナムサンドイッチ店の草分け的存在の「バインミーサンドイッチ」。店主の木坂幸子さん(45)が、パン製造の修業と語学留学のために05年に渡ったカナダで、友人のベトナム移民の弁当だった「バインミー」というソフトフランスパンのサンドイッチに出会い、ベーグル店出店計画を変更して2010年1月10日にテークアウト専門で開業した。店は幅約4メートルの車道に面し、対面の敷地にはコインパーキングがあり、車が店の方に向かって駐車している。

3度目の事故は、2021年12月3日に発生。営業中、突然自動車が店に突っ込み、ガラスがあちらこちらに飛び散った。たまたま客がおらず、従業員も店の奧で作業していたため、人的被害はなかった。3回の事故はいずれも、駐車場から出庫した車によるものだった。駐車スペースにわずかな突起があったといい、乗り越えた勢いでそのまま店に衝突した可能性もある。駐車場の管理者は駐車場の敷地の一部を削って地面を平らな状態に修復したという。

開店して2年後の12年4月に最初の事故が発生。修復までに40日を費やした。しばらく平穏な日々を過ごしたがコロナ禍中の21年8月16日に2回目の事故があり、同年11月16日に復帰できたばかりで3度目の事故に見舞われた。木坂さんは「2回目の再開直後は売り上げが3割減。でも3度目の後は、3度車に突っ込まれたことも話題になって売り上げは落ちていません」と苦笑いした。

3度目の復活後、店の前には大家さんが大きな植木鉢2本を置いてくれた。2月中旬には、車から客と店を守る鉄柱を埋め込む予定で、4回目は防げそうだ。木坂さんは「かわいがってくれるお客さまがいるから、ここで頑張りたい」と話した。【寺沢卓】