ロシアの侵攻を受けるウクライナのゼレンスキー大統領が、現地時間27日に米ロサンゼルスで開催される第94回アカデミー賞授賞式に映像で出演する可能性が浮上した。

米ニューヨーク・ポスト紙が、主催する米映画芸術科学アカデミーとゼレンスキー大統領が出演に向けて話し合いをしていると伝えた。衛星中継で出演するのか、事前に録画したビデオメッセージが流されるのかなど詳細は分かっていない。

アカデミー賞はウクライナ侵攻が起きて以降、非政治的でありつづけるべきかどうか議論が続いていると同紙は伝えている。

ゼレンスキー大統領の出演を巡っては、4年ぶりの司会に抜てきされた共同司会者のひとりで女優のエイミー・シューマーが、授賞式のプロデューサーらにゼレンスキー大統領の出演を提案したことを明かしている。「現状にスポットをあてるジョークも考えているが、あまりに悲惨な状況からどれを取り上げるべきか判断が難しい」と語っていた。

放映権を持つABCテレビは、元俳優であるゼレンスキー大統領の出演を支持しているとニューヨーク・ポスト紙は伝えている。

授賞式ではほかにも受賞者やプレゼンテーターらがウクライナの現状についてスピーチする可能性が高く、プレゼンテーターを務めるウクライナ出身の女優ミラ・クニスも壇上で何かしらのメッセージを伝えるものとみられている。

クニスは夫の俳優アシュトン・カッチャーと共に難民支援のために3500万ドルの寄付金を集めており、ゼレンスキー大統領がビデオ通話で直接2人に感謝を伝えたことをSNSで明かしていた。

日本を含む世界各国の議会で演説を行っているゼレンスキー大統領が、ハリウッドの祭典でどのような言葉で世界に支援を訴えるのか注目される。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)