自民党内で、80年代に活躍したアイドルグループ、おニャン子クラブ元メンバーのタレント生稲晃子(53)を、今夏参院選の東京選挙区候補として擁立する案が浮上していることが30日、分かった。複数の党関係者が明らかにした。

生稲は2016年に初会合を開いた政府の「働き方改革実現会議」の民間メンバーの1人。同会議では自身が乳がんを患った経験を踏まえ、治療と仕事を両立するための策として両立支援コーディネーターの設置などを提案するなどしてきた。また厚労省による、企業のがん対策をすすめるプロジェクトのメンバーにも名を連ねた。それらの経験や、1児の母で女性の思いを代弁できる候補として白羽の矢が立ったとみられる。ただ、生稲サイドへの打診は最近行われたとみられ、党本部や都連の一部に慎重論もあることから、今後曲折する可能性もある。

同選挙区は改選数6。自民は既に現職の朝日健太郎元国土交通政務官の公認を発表しており、朝日氏と支持層が重なりにくい女性候補として、生稲擁立論があがったようだ。

参院東京選挙区では3期務めた75歳の中川雅治氏が引退する見通し。中川氏は安倍晋三元首相が会長を務める清和政策研究会の所属のため、中川氏に代わる候補者も「清和会主導で決めたい」(関係者)との動きが出ていたという。生稲の擁立論に関しては、会長でもある安倍氏の「後押し」もあったとみられる。

ただ参院選まで短期間のため、議員経験者を求める声もある。

生稲は86年フジテレビ番組「夕やけニャンニャン」に出演したおニャン子クラブのメンバーとして芸能界入り。11年から患った乳がんについては16年発売の著書で、2度の再発があったことや、5度の手術による右乳房全摘出や再建を行った経験などを公表している。

◆生稲晃子(いくいな・あきこ)1968年(昭43)4月28日、東京生まれ。おニャン子クラブでは会員番号40。87年に同グループの工藤静香、斎藤満喜子と、うしろ髪ひかれ隊を結成。88年にシングル「麦わらでダンス」でソロデビュー。90年から女優活動を本格化させ、ドラマはTBS系「キッズ・ウォー」シリーズなど。テレビ朝日系「ちい散歩」にも出演。03年にCMプロデューサーと結婚。06年3月に第1子女児を出産。158センチ。血液型B。

◆参院東京選挙区 東京全域が選挙区で改選数6。蓮舫(立憲民主党)、中川雅治(自民党)、竹谷とし子(公明党)、山添拓(共産党)、朝日健太郎(自民党)、小川敏夫(立憲民主党)の現職6氏が改選となる。自民は元ビーチバレーボール五輪代表の朝日健太郎元国土交通政務官、立民は前代表代行の蓮舫氏、前衆院議員の松尾明弘氏をそれぞれ公認し、発表した。

参議院議員の任期は6年(衆院議員4年)で3年ごとに半数が改選され、今夏は2016年(平28)の第24回通常選挙の当選者が改選される。