小学生対象の漢字ドリルなどシリーズ累計発行部数950万部を誇る「うんこドリル」は、企業、自治体、官公庁などとコラボした啓発バージョンドリルでも人気モリモリだ。

発行する文響社(本社・東京都港区)うんこ事業部の萩野里咲うんこアンバサダー(27)は15日、「みんな『うんこ』という言葉が大好き。『うんこ』は勉強を楽しくするので、興味を持ってくれることが最大の価値。学校で学ぶこと以外も幅広く伝えていきたい。大切な学びは全世代共通」。今月12日には、林野庁の「森とくらし」、国土交通省&河川財団の「川の安全」が誕生した。

「森とくらし」は「うんこ先生」が森を歩きながら、森林の現状、林業や木材利用の意義などの問題を5問用意した。同庁は子供向け林業漫画を発行しているが、担当者は「中身が難しくてちゃんと心に届いているのか疑心暗鬼だったものを解決してくれた」と感謝。日本の森林は約50年前に植えられた人工木が多く「それを伐採して家やビルを建てたり、スプーンや食器をつくることが出来るし、木を植え替えることで地球温暖化改善にもつながるんです」と子どもたちの理解を期待した。

「川の安全」は水難事故の約6割を占める河川湖沼で楽しく過ごす参考書でもある。冊子だけでなく、ウェブアプリでは「うんこ先生」から、「うんこが速く流れるのはどっち? A上流や中流、B下流」などの20問が用意されている。国交省の担当者は「十分な準備、知識を持って、安全に楽しんでいただくことが大切」と訴えた。

先月には金融庁の「お金ドリル」に加え、18歳に引き下げられた新成人に過剰借り入れやヤミ金利用をユーチューブ動画で注意喚起する「うんこクイズ」8種も登場した。暑い都市として有名な埼玉県熊谷市の「うんこ熱中症ドリル」、農機などを扱うヤンマーの持続可能性を学ぶ「うんこ食とエネルギードリル」など多種多様。子供だけでなく大人までが、う~んと“べん”強出来るドリルに注目だ。【鎌田直秀】

◆うんこドリル 文響社が17年3月から刊行している子供向け学習ドリル。子どもたちが口にするだけで楽しくなってしまう魔法の言葉「うんこ」をキーワードに学びのハードルを下げ、苦手を克服しやすい形を提案。19年にはウェブ上のプラットフォーム「うんこ学園」を設立。やる気、好奇心、自主性を育み、「うんこを通じて学びを喜びに変える」がコンセプト。校歌もある。中高生向けの英単語ドリルも好評。20年からは各分野とタイアップした多様なテーマの啓発ドリルや、冊子、ウェブアプリ、動画なども展開。