最高時速20キロ以下の電動キックボードが、16歳以上なら運転免許なしでも公道走行できる改正道交法が19日、衆院本会議で可決、成立した。ヘッドライトなどの保安部品の装備が義務付けられた現行のナンバー付き「原動機付き自転車」に、「特定小型原動機付き自転車」として新たに加わる。

電動キックボードなどの道交法改正について国会でも与野党から意見が交わされた。12日の参院内閣委員会で警察庁交通局は「性能上の最高速度や大きさが自転車と同程度のものについて自転車と同様の交通ルールを定めることとした」と説明した。また経産省が昨年度に実施した調査を引用し、「電動キックボードは21年時点で、すでに1万8000台から2万台程度が新規に流通したものと推計し、市場が拡大している」との認識を示した。

立憲民主党の森屋隆氏は昨年9月から今年2月までの6カ月間で電動キックボード使用による摘発が168件に上っていることを指摘し、二之湯智国家公安委員長は「今回の改正を契機として事故が急増することがないように広報啓発や悪質危険な違反に対する厳しい取り締まりを徹底することが重要」とした。

警察庁が行った有識者検討会では全日本トラック協会、日本バス協会、全国ハイヤータクシー連合会から電動キックボードはドライバーからの被視認性が悪いとする意見が出た。大型バス運転手として18年間の経験がある森屋氏は日本の道路事情を念頭に「便利だから経済効果があるからというだけで推し進めていくのは危険」と懸念を示した。