囲碁の仲邑菫二段が6日、史上最年少の13歳3カ月で公式戦100勝を達成した。東京・市ケ谷「日本棋院東京本院」で打たれた第41期女流本因坊戦2回戦で、加藤啓子六段(43)を下した。趙治勲現名誉名人(65)が1972年(昭47)の五段時に達成した15歳11カ月という最年少記録を、50年ぶりに更新した。

「中盤あたりで相手の形が崩れて、少しよくなったと思いました。ちゃんと打てばいけると思いました」と対局を振り返った。100勝は意識しておらず、「そうなんだって感じです」と終局後の会見で笑った。

仲邑は19年、初の英才特別採用推薦として10歳0カ月でプロとなった。初戦となった竜星戦予選Bこそ、大森らん初段(19)に敗れたものの、続く女流棋聖戦予選B、田中智恵子四段(70)で初勝利を挙げた。翌年には扇興杯女流最強戦、女流棋聖戦で本戦入り果たすなど、着実に力をつけていった。

21年1月、中学進学を前に、所属していた関西総本部から東京本院に移籍した。3月には12歳0カ月で二段昇段。一力遼棋聖(24)、藤沢里菜女流名人(女流本因坊・女流立葵杯・扇興杯=23)ら若手強豪との研究会で勉強し、同年は43勝と飛躍的に伸びた。勝数ランキングでは、初めて3位に食い込んだ。

今年4月には女流名人戦に史上最年少の13歳0カ月で、藤沢に初めて挑戦もした。その挑戦者決定リーグでは、過去3連敗の上野愛咲美女流棋聖(20)から初勝利をもぎ取った。自ら思い出の1勝に挙げたほどだ。しかも、「昨年より多く、今年は勝ちたいです」と自らに課している。

女流本因坊戦はこれでベスト8に進出。扇興杯もベスト8まで進出しているなど、確実に挑戦権争いに絡んでいる。2019年4月のデビュー以来、3年2カ月で区切りの勝利は通過点にすぎない。

前期の女流本因坊戦は準々決勝まで進出しながら、小山栄美六段(52)に敗れた。今期は上野愛女流棋聖の妹で、仲邑と同期でプロ入りした上野梨紗初段(15)と激突する。「相手は余り意識せず、自分なりの準備をしてしっかり実力を出し切れるよう、頑張ります」と気を引き締めていた。